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1)はじめに
こんにちは。今回は「情報共有」の本質について、わかりやすくお話したいと思います。前2回が内部統制のお話でしたので、その後に情報を共有しましょうというお話は若干矛盾するのでは?と、思われるかも知れません。というのは、内部統制は情報漏洩のためのセキュリティ対策と管理という側面が強調されて、「情報共有なんてとんでもない!」と誤った風に捉えられ兼ねないからです。
巷の新聞紙上では、パソコンやCD-ROMなどを使って、個人情報を漏洩したなどの記事が続き、それに加えて内部統制を迫られて、お悩みになっているシステムのご担当者も多いのではないでしょうか。
しかし、内部統制をやらなければいけないとはいえ、企業のミッションは収益を上げること。内部統制を行ったら業績が落ちて株価が下がったでは、何の為にやっているのかわからなくなります。昨年施行された新会社法では、内部統制の三大要素として、「コンプライアンス(法律遵守)」「財務報告の信頼性」「業務効率」を挙げており、法律を厳守し財務報告を正しく行うだけではなく、それをやるからといって効率を落とさないでください、ということが書いてあります。つまり、ただ守るだけではなく、「攻める(情報共有)」ことも重要で、攻守のバランスが大切になるわけです。
2)変化の激しい時代において
かつてのように全員がそろって朝礼を行っていた時代と違い、出張や直行直帰、また他の拠点、部署とのコラボレーションが頻繁に発生する現在においては、全員が直接顔を合わせてのコミュニケーションが困難になってきています。変化の速度が速くなれば、その分コミュニケーションを密接に行う必要があるわけですが、現実にはそれが「言うは易し」という時代になってきているのです。
そこでITの登場です。
では、ITを使ってどうすれば業務効率をすぐに上げられるのかという問題が次に発生します。大企業であれば、既存の業務を全部書き出して、時間の無駄が発生している部分をシステムを作りこんで解決してゆけば良いのですが、そもそもの業務フローさえ属人的で、融通を利かすことで効率を上げている中小企業では、そうもいきません。
3)何を共有するのか?〜「暗黙知」と「形式知」〜
しかし、情報共有といった場合に、共有すべき情報とは何も品物の動きや在庫情報や伝票だけではないのです。考えてみればわかることですが、情報には伝票やレポート、社内規則やマニュアルなどの形で保存することが可能な形式知と、ノウハウや雰囲気といった「暗黙知」の部分があります。一般的に外資系よりも国内資本の企業の方が、暗黙知に頼る部分が多く、いわゆる「職人の技」というのは、この部類です。そして、「暗黙知」の共有によって業務効率を上げているのは、特に中堅、中小企業なのです。
野球の場合に例えてみると、例えば「レフトは外野の左側を守る」というのは形式知です。ところがレフトとセンターの守備位置の境界線に、わざわざ線が引いてある訳ではないので、時折そこで「お見合い」が発生して、レフトもセンターも間に合うのに捕れないようなエラーが発生します。
境界線を決めているものは「暗黙知」であって、それを共有しているのは、レフトとセンターの人間の相互理解に基づきます。仕事と仕事の間には、必ず境界線(マイルストーンやイベント)があり、しかしその区分は必ずしも厳密に定義できるものではありません。
少人数で効率的に仕事を回しながら、さらに技術やノウハウの伝承まで行う中小企業の場合、大企業のマネをして暗黙知を形式知に変え、ITに置き換えた、結果、業務効率を落としてしまったといったことをよく聞きます。
4)意外と重要な「スケジュールの共有」
少人数で仕事を回す場合は、どうしても部署間や担当間で仕事を融通しなくては回らなくなりますから、業務フローを洗い出して役割と権限を明確にして(もちろんそれは大切なことです)、タイムを縮めてゆくような改善方式より、単にみんなのスケジュールを共有することで、融通を利かせる場合の方が、効果的な場合も少なくはありません。
スケジュールなんて共有して、なにがそんなに効果があるんだ?と思われるかもしれませんが、意外に侮れません。私事で恐縮ですが、私はマネージャーであると共にプレイヤーでもあり、出張は頻繁に発生します。
今では出張先からでもグループウエアへのクリック一つで、その日のメンバーのスケジュールが全部チェックできるようになっていますが、1週間のメンバーのスケジュールの一覧画面を見るだけで、仕事の混み具合から、偏り具合まで見えてしまうのです。で、その場で割り振りを変えたり、フォローに入れるメンバーに指示を出したりして、業務の平準化を図っています。
5)ちょっとした心配りが・・・・・
同時に、部内の掲示板などを使って、「ありがとう」や「お疲れ様」「忙しそうですね」などのほんの少しの声かけを行うことで、散り散りで仕事に飛び回る部下に、自分の気持ちを伝えることができます。
6)思ったより手軽にできる情報共有
確かに情報共有の手段や、その内容は時代の変化と共に変わりますが、「密接にコミュニケーションを図れること」こそが情報共有の本質であり、変ることはないのです。
だからこそ、何百万円もかけた大規模システムではなく、一人当たり月々数百円のシステムを導入するだけでも、意外に効果はあるものなのです。
こんなITの使い方も含めて、すぐ効果が出て身の丈にあった効率的な情報設備投資を行いたいものです。 |